![]() Part2 written by D.D all pix by D.D except * and name’s credit
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そのギターのチューニングを終えたあと、あの、あの、あのイントロをかなではじめたのだ! 「サマータイム・ブルース!」 そして 「うじきつよしー!」 と声をあげた。 もう大変。 自分が一番。(笑) うじきくんがステージに歩いていく間にトーベンは 「あーつい夏がまたやってくーるー♪」と歌いだしている。 私らの周辺は総立ちで大歓声!
こうなる予感は最初のうじきくんのノリノリ加減で予想していたが、実際にそれが実現されるとは。 |
生きてて良かった。
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ただひたすら「おーーーー!」とだけわめていていたような気がする。 まだうじきくんが何も準備できていないのにトーベンがどんどんヴォーカルをふってくる。 一瞬のとまどいがあっただけで、うじきくんは即座に反応にマイクをつかんだ。 そして トーベンが「いかれたあの子に声かけりゃー!」とたたみかけ 「あーー、あんたはまだまだ子供だよ!」 「どうにもならないこの気持ち♪」 「どーすりゃいいのさサマータイムブルース♪ |
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鳥肌が立った。 本当に。 だってこのうーあーーおーーーと唸って すごいっ! 健在なんてもんじゃないよ、 あー、本当に・・・・ うるうる。(生きてて良かった状態) |
pic by kyo |
子供ばんどを知っているお客さんはみんな同様だったらしくみんな頭を飛ばされしまったようだ。 はしゃぎまくって一緒に歌い拳をふりあげる。
「サマータイム・ブルース」はこのあとうじきくんが歌を引き継ぐ。 即興の歌詞だ。
「いけないおやじのトーベンのライヴ〜♪ だいたいなんだってんだこのペーニャって店は〜♪ 入り口があ丸見えだあ〜♪
おうおういえい〜 でも今日は俺はトーベンより気に入ったやつがいるいる〜♪
それは誰だと尋ねれば〜 Qちゃん!Qちゃん!Qちゃん!Qちゃん 彼女のハープグッド〜彼女のハープはグッド! 彼女は本物だああ〜♪」 |
そこでQちゃんがブルースハープで参加していやがおうでも盛り上がる。
即興歌詞で見事に「サマータイム・ブルース」をフルで歌ってくれたうじきくん。 「うじきも45歳になりましたー!」と歌いながらいい |
途中みんなであのギターネックを上下させる場面では、 うじきくんは立ち上がってギターを裏返しにしてが しゃがしゃ弾くまねを披露、とことん楽しませてくれた。
トーベンが 「うじきギターの音がでてないよ」 とからかい、そのあとトーベンのギターと うじくんのヴぉーかるで即興の掛け合いをする。 |
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「♪トーベンもまだまだガキんこよー♪!」
と、終るや否や、うじきくんが座ってギターを弾くと同時に歌いだす。 |
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![]() pic by kyo |
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こ、こ、こんなのいいのー! うっひょおおお〜 などと考える間もなく頭の中まっ白。
かっこよかったー。 本当にかっこよかったー。 |
熱唱です、 本当にとことん うじき魂の炸裂でした。 |
そしてライヴは終る。 うじきくんとはっちはすぐに帰らなくてはいけないようで、少ししか話すことはできなかった。
pic by kei
私「いやあ、うじきくん全く健在!もう最高だったわ!去年下北沢のトーベン祭でギター弾いて歌ったっていうから悔しくて悔しくてさー」 うじきくん「いや、あれはね、本当に遊びに行っただけで見ているだけのつもりだったんだ。 TAI「・・・・・・・・」(固まっている音) 私「でも本当に嬉しかった!還暦までにもう一度うじきくんの歌が聴きたいと思っていたから本当に嬉しかった!」 うじきくん「還暦いいい?なんだよー、それえ〜?!!」(笑) TAI「・・・・・・・・」(ひたすら固まっている音) うじきくん「ところできんたいくつになったんだっけ?」 注・きんたというのは私の昔のあだ名です。
私「45だよ」 うじきくん「あ、そっかー、俺より一つ下だったよなー」(うじきくんは現在45歳、来月18日は誕生日で46になる) TAI「・・・・・・・・・・・・・」(以上に同じ)
私「後ろにいる白いの着たの娘やねん。」
うじきくん「ああ!!中野サンプラザにつれてきてくれた赤ちゃん?」 TAI「・・・・・・・・・・・・・」(以上に同じ) 私「いや、あれは息子でもう19やで」 うじきくん「そーかー、きんたは人妻なんだよなー」 TAI「・・・・・・・・・・・・・」(以上に同じ) 私「おお、そういう語感いいねー」 うじきくん「そういえばだんなさんは?」 TAI「・・・・・・・・・・・・・」(以上に同じ) 私「ミナミで待っててあとで迎えにきてくれる」 うじきくん「うわー、優しいよなー」 TAI「・・・・・・・・・・・・・」(以上に同じ) はっち「うん、一度サンプラザでお会いしたけれど、優しそうな感じの人だったよねー」 (優しそうな感じ、が通俗だが、優しいけれど決しておとなしくない。『あと10キロ痩せなかったら俺は家出するぞ』と訳のわからない脅し文句を真剣に言う御仁であるし。笑)
やっとうじきくんが帰る段になって初めて勇気を出して語りかけるTAI。
「あ、あ、あ、あのお・・・お、お、お、大阪へは偶然こられたんですかかかかか???」
うじきくんがはっちに促されてて慌しく帰ったあとにようやくTAIがしゃべりだす。(笑) 「20年間これを待っていたんだー。
あたしたち高校の時子供ばんどのおっかけやっていたんです〜と、みなさん、「今は昔」ものがたりにつかる人々。(笑)
でも、たくさんの人たちの青春の象徴とされるなんてミュージシャンだけでなく人としても嬉しいものだと思うわな、個人的にさ。
突然兄貴がうじきくんに話し掛ける。 「きんたの兄ですが、その節はどうも」と。
実は兄貴はお礼を言いたかったのだ。
8年前に私たちの母親は肺がんで亡くなった。 コーヒーのポットを積んで、煙草を吸いながら高速道路で一人で7時間140キロで飛ばして大阪に遊びにくるような人で、とてもとても元気で愉快な人だった。(元ミス岡崎市と謳われた美人な人だったんです、ほんと。調布市では大映映画などの女優スカウトの人がよく来ていて、子供が三人いると知ってみんな諦めた・笑) 9年前、変な咳がで始めて、即座に肺がんの告知。 余命半年、と。
大阪にいた私、弟夫婦は看病にいけず、兄が病院に泊まりこんでそこから仕事に行き、そこに戻るという看護を一年間亡くなるまでした。
私も何度か生まれたばかりの4子のちびを連れて病院にいったものだった。
その時に母親が病床でテレビを見ていて 「テレビ・タレントって嫌いな人多いんだけど、この人はいい、この人はとっても好感がもててファンなんだ」 と画面を指差す。
見るとうじきくんが映っていた。 私はびっくりして 「お母さん、この人子供ばんどのヴォーカルだった人だよ!」 と教える。 私が子供ばんどが大好きだったことを母はしょっちゅう現役時代に聞かされていたのだ。 鳥羽のスタジオに泊まりこみで取材したり、京都、大阪までいったりしていた唯一のバンドだったからだ。 「あー、この人子供ばんどの!ああ、本当だ、そうだそうだ」 と母もびっくり。
私はその日の夜に早速はっちの自宅に電話した。 事情を説明して母親にうじきくんのサインをもらえないか、と。
私はもう音楽雑誌の編集者でも音楽誌のライターでもない、一主婦で、このメリットディメリットだけがつきあう目安になる業界で、私などは過去の「つきあい」の人間だった。 でもはっちはすぐにうじきくんに言ってくれ、うじきくんから翌週写真はがきが届いた。
それはちょうどサッカーのレポーターとしてうじきくんがスペインかどこかの国にいって、サッカーグラウンドのグリーンの上で思いっきりジャンプしている写真で、そこにマジックで大きく 「八重子おねえさん、がんばってください! うじきつよし」 と書いてあったのだ。 八重子というのは私の母親だ。
母親はそれはそれは大変な喜びようで、病室の枕もとにそのハガキを置いて来る人来る人に自慢していた。
つきっきりの兄も私も弟も、心底はっちとうじきくんに感謝したのだ。 それから半年後に母は逝ってしまったけれど、最後までその写真は母の枕もとにあった。 だから兄は家長として息子としてうじきくんにお礼がずっと言いたかったのだった。
pic by *
最高の夜の記念写真。 トーベン、ありがとう、うじきくん、ありがとう。
「きんた、今日のことみんなの掲示板に書き込んで羨ましがらせてやれよ〜!
うじきくんが帰ったあと、時刻は既に午後10時半、お客様も帰りトーベンを囲んでわいわいと話する。 カウンターにビールを買いにいったら、トーベン・ライヴでは日本中どこにいってもこの人の姿が見れるのでは、と言われている東京のOL・京さんがカウンターでお友達の人としゃっべっていた。 京さんに 「良かったよねー、今日本当に」 と言うと、京さんは 「涙が出そうでした、トーベンさんもとっても嬉しそうで。 と教えてくれ、 「本当?じゃあ下北沢では突然だったけれど、今日は気合いれてくれたんだね、うじくきん」 と更ににんまりする。(やったやった〜いえーい)
トーベン「今日は良かったなー、TAI」 TAI「はい、本当に楽しかったです。」 トーベン「うじきも見れたしなっ!」 TAI「いやぁー、びっくりしましたー。うじきさん、まさか歌って下さるとは思ってもみませんでした。 ところで、今日は『坂道』が無かったですよね。僕、あの歌大好きなんです」 トーベン「そうなんだー。最近、やってないんだよなあ。 TAI「えーっ!ほんとですか!ありがとうございます!!」
スラックスにサインしてくださーい〜
トーベン「最近はファンの人がギフト券とかでお心づけをくれるんだよ、ありがたいねー」 私「あ、そっかー、お花もらっても処分に困るしかさばるものとか不要なものとかになるからビール券とかいいよねー」(この間のライヴでくそ重たい瓶のワインを差し入れて迷惑をかけたのは私でした・笑) トーベン「うん、今日もビール券もらったんだよー。」 私「あ、ならばTAIはトーベンに診察券があげられるじゃん!」 TAI「それなら何枚でも発行しますよ!」 (一同大笑) トーベン「そんなものもらったってよー・・・」 私「TAIの病院、マッサージの人いるんですよ。すごく上手な」 トーベン「お、それいいねえ。それで温泉があれば」 TAI「近くにラブホあります!そこの風呂入ってください。僕送り迎えしますし、ラブホの前でずっと待ってます忠犬ハチ公のように!」 私「ついでにそこの看護婦さんがマッサージしてくれるっていうのどう?看護婦の服着て」 看護婦さん「やります!私がトーベンさんをマッサージします!」 トーベン「本当?!いいなあ、看護婦の衣装着てくれるんだー、いいなあそれ〜」 TAI「衣装違います!うちは医院だから本物のユニフォームですよ!衣装だなんてコスプレ違うんですからね!」 (一同爆) トーベン「今度俺よ、TAIの病院のテーマソング作ってやるよ」 TAI「え?本当ですか!是非お願いします」 私「患者さんが会計すます時に一緒にCDつけてその料金も加算するねんで」 トーベン「しょっちゅう病院内でかけてもらってさー」 TAI「もちろんです!」 トーベン「それってヘビメタね、がんがんにうるさいやつ」 私「患者さん年配の人が多いからそれで更に具合が悪くなって通院が長引いて儲かる、とか」 (一同笑) TAI「これ僕の病院の名刺です。」 トーベン「(笑)で、これどこにあるの??・・・」 すでに行く気のトーベンでもあったのだった。(爆) とりあえずTAIは今日のことを、明日の朝、毎日の日課の朝礼で職員に報告するそうだ。(なんのこっちゃ・笑)
pic by kei
レイチェルと娘と私はだんな様が迎えに来てくれてずっと長堀橋の交差点で待っていてくれてるので帰路につく。 明日も朝6時半に起きて二人は学校へ、私はお弁当を作らないといけない。 看護婦さんたちも還った。 私たちのグループで残ったのはTAIとY子ちゃんと兄貴。 京さんも寝台電車で東京に帰るというのでしばらくしてから店をあとにした。
しばらく談笑して、TAIが 「僕の好きな『坂道』っていう曲は今日はやられなかったんたですねー」 と言ったあと、 「明日も仕事がありますのでもう帰ります」 と腰をあげる。
TAIも兄貴ももちろん出勤だし、Y子ちゃんにいたっては午前3時半出発で和歌山にダイビングしにいくのだ。 Y子ちゃんはダイバーで世界中の海を潜っている。
すると、トーベンが 「じゃあやるから聴いていきなよ」 とステージに立つ。 居合わせた何人かはそれはそれはラッキーなライヴだった。 スペシャル・アンコール「坂道」。
最後の最後までみんなが幸せな一夜だったんだ。
本日の演奏曲目
1.夏が来た enc. 日本のおっさんの歌 サマータイムブルース うじきつよしソロ WALKIN AWAY
スペシャルアンコール 坂道
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